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シルバーのプレートに、黒い文字で神谷さんの所属部署が記載されているフロアのドアが開けられた。 「神谷さーん!!」 案内してくれたその人は、入口から遠くにいる神谷さんを大きな声で呼んだ。 「田村、マジでうるさい」 人差し指を唇に当てながら、デスクから離れる神谷さん。 「神谷さんのファンの子、連れてきましたぁー」 気だるそうに大きな声で言われてしまった。 周りの人が、好奇の目で私を見る。この人、苦手だなぁ……。 そういう用件で来たわけじゃないし、神谷さんのファンじゃないと肩を竦めてみたけど、余計に肩身が狭くなるだけだった。
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