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「ごめんね、馴れ馴れしく名前で呼んじゃって」
部長と同じくらいの高さから、ハスキーボイスで私を呼び、切れ長の瞳で見つめてくる。
「神谷の同僚、赤崎 颯斗(あかさき はやと)です。よろしくね」
「こちらこそ」
「高梨さんって呼んだら、気付いてもらえなさそうで、名前で呼んじゃった」
「すごい人数ですもんね……50人くらいって聞きました」
「まぁ、人数もそうだけどさ、みんな彩星ちゃんを狙ってる気がして」
「まさか!そんなはずないです」
社交辞令の割には、本気っぽい視線がちょっと危険な感じがするんですけど……。
赤崎さんがバーカウンターから持ってきてくれたカクテルは、綺麗なワイン色と透明が二層になったカクテル。
「このカクテル、なんて名前ですか?綺麗な色ですね」
「アメリカン・レモネード。飲みやすいでしょ?」
「はい。私レモネード好きなんです」
「それは良かった」
「赤崎さんは物知りなんですね。こんなカクテルをご存じだなんて」
「そんなことないよ。でも、ありがとう」
赤崎さんは行き交う他の1課の人と、一言二言話してはグラスを傾けている。
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