3

13/36

138人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
「ありがとうございました」 階段を上ったところで、私は自分からすかさず手を離した。 「結構飲まされたの?」 「覚えてないくらい、たくさん飲みました。でも、お酒は好きなのでこれくらい大丈夫ですよ」 階段室を抜けると、1階とは全く違う空間が広がっていた。 1階が白基調だったのに対して、2階は黒基調。 ダークブラウンのソファに足が細いガラステーブルが映えて、一際透明に見える。 落とされた照明と、ジャズが心地よい。 そして正面には大きな窓がある。黒く太い窓枠が縦横に配置されていて、まるで黒い十字架のようで印象的だ。 「どうしたの?ボーッとしてる」 赤崎さんに話し掛けられてハッとした。 「お酒より、この雰囲気に酔っちゃいそうです。本当素敵なお店ですよね」
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

138人が本棚に入れています
本棚に追加