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「ありがとうございました」
階段を上ったところで、私は自分からすかさず手を離した。
「結構飲まされたの?」
「覚えてないくらい、たくさん飲みました。でも、お酒は好きなのでこれくらい大丈夫ですよ」
階段室を抜けると、1階とは全く違う空間が広がっていた。
1階が白基調だったのに対して、2階は黒基調。
ダークブラウンのソファに足が細いガラステーブルが映えて、一際透明に見える。
落とされた照明と、ジャズが心地よい。
そして正面には大きな窓がある。黒く太い窓枠が縦横に配置されていて、まるで黒い十字架のようで印象的だ。
「どうしたの?ボーッとしてる」
赤崎さんに話し掛けられてハッとした。
「お酒より、この雰囲気に酔っちゃいそうです。本当素敵なお店ですよね」
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