138人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
「お待たせ」
初めて聞いた声に、部長が視線を外した。
「なに見つめ合ってんだよ、夏輝。そういうのは他でやれよ」
一緒に戻ってきた神谷さんが、部長の行動に呆れ顔だ。
「高梨さんの瞳が綺麗だと思っただけ」
「お前、赤崎と同類?」
「あんな軟派と同じにするな」
き、綺麗って……なんでそんなこと言うの?それに、仕事中の部長とは雰囲気が違う。微笑んでくれないし、なんていうか……冷たい。
「優、この子は?」
「モヒート」
「違うって、どなたか聞いてんの」
「高梨 彩星といいます。三浦部長と神谷さんには」
「新しく入ってきた、可愛い俺の部下」
部長が私の言葉を遮って紹介をしてくれたけれど、可愛い部下と言われると照れてしまう。
「俺、ここを経営してる井上 誠です。優と夏輝は大学の友達で、よく飲んだりしてバカばっかりやってるんだよ」
誠さんが、私の前にミントがぎっしり入ったモヒートを置いた。
「お疲れ、俺。キールロワイヤルとか久々だわー」
神谷さんが、やっとお酒を飲み始めた。
最初のコメントを投稿しよう!