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「私を選んでいただいた理由って……美容に興味があって、同業じゃないからですよね?」
神谷さんに話を聞いた、先月を思い出す。
「基本的にはね。でも、やっぱりそこは誰でもいいって訳じゃないからさ……誠、フレンチコネクション飲みたいかも」
「あ、俺も」
部長がネクタイを緩める仕草に、ドキッと脈打つ鼓動を感じた。
頬に触れてみると、鏡を見なくても赤くなってるのが分かる。
1つ1つに反応してしまう。
部長の仕草や仄かな香り、ヘーゼルの瞳や甘く低い声が、どんどん染み込んでくるみたいで止まってくれない。
私の目の前に鮮やかな夕焼け色が置かれたけれど、アルコールのせいでドキドキしてるんじゃないって、気付かされた。
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