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「2次会には行ける?無理にとは言わないけど」
「はい。大丈夫だと思います」
先に人数確認してるから、と神谷さんが付け足した。
「でも、あまり遅くなったら彼氏さんとか怒らない?迎えに来てくれたりする?」
「そういう怒ってくれる人を探してるんです」
「え……高梨さんフリーなの?」
一瞬考えて言ったからなのか、神谷さんの声が大きい。
それに気付いて、ウインクしながら謝る彼は、やっぱりちょっと可愛らしい。部長とは大違いの人当たりの良さだ。
「神谷さんに謝られるの、今日2回目です」
「いやいや、本当ごめん……あ、3回目」
照れ笑いも様になる。神谷さんって、本当に感じのいい人だなぁ。
「あと、1課は観ての通り男が多いから、みんな高梨さんに興味津々だんだ。質問攻めだと思うけど、なんとかうまく交わしてね。困ったらいつでも俺に頼っていいから」
「はい、ありがとうございます」
「それじゃ、楽しんでいこう!」
神谷さんが背中にそっと掌を添えてくれて、扉が開かれた。
背中の温もりは、初めて会社に来たあの日を思い出させる。
「主役の高梨さんでーす」
ガラス扉が開かれ、大きく広がった空間に踏み入れたら、皆さんが拍手で迎えてくれた。
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