148人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
「彩星、足の具合はどう?」
テラスから戻ってきた麻耶が、少し酔った顔で向かい側のソファに座る。
「うん、まぁまぁかな」
本当はズキズキと痛むけど、きっと明日には治るはず。
「ってかさ、照明暗くして何してたの?」
神谷さんが扉を開けて、調光している。元のアンバーの明るさに目が眩んだ。
「優と麻耶ちゃんの様子を見てただけ」
煙草をくわえてバーカウンターへ歩きながら、平然と部長が言う。
「まったく、趣味悪いな」
神谷さんもは白いリキュールの瓶を持って、動揺している麻耶の隣に座った。
「俺と麻耶ちゃん、あとちょっと飲んだら帰るから」
「俺たちも、これ飲んだら帰ろうか」
ミントジュレップを作り直す部長の腕時計は、終電まであと少しの時間になろうとしていた。
最初のコメントを投稿しよう!