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「イケメン部長さんっ!」
「……俺のことだっけ?」
小さめの両手でグラスを持つ麻耶に、急に大きな声で呼ばれた部長の肩が動いた。
麻耶は、元々そんなにお酒が強くないのに好きで、酔うと眠ってしまう。今夜は神谷さんが一緒だから、そういうこともないだろうけど……最悪送って帰ることになりそうだなぁ。
「彼女、いますか!?」
思い切った質問をされた部長は、肩を揺らして笑っているだけだ。
「いたら、どうなの?」
少しの間の後を空けて、麻耶に質問を返す部長が楽しそうにしている。
「諦めます」
「ふーん。じゃ、フリーなら?」
「彩星の彼氏になってくださいっ!」
……私の、彼氏?!
「ちょっ、ちょっと麻耶!?」
「ふふっ……喜んで」
部長は私にウインクしてから、グラスの氷を指でひと混ぜした。
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