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それから冬也が卒業するまで、会える時にデートを繰り返した。 冬也の学生最後の夏休みには、2人で沖縄に旅行をして、いつも以上に深く彼の気持ちを全身で感じた。 嬉しくて、涙が出た。愛されるって幸せなんだって実感した夜は、今でもくっきりと思い出せる。 シーツに一緒に包まって、後ろから抱き締めてくれた時の冬也の香りが愛おしくて、それから毎回抱きしめてくれるようになった。 普通の恋だけど、毎日がドラマの主人公になったような気分で。 つき合ってから1年ちょっと経った春、冬也は無事卒業していった。就職先は、第一志望の外資の美容系商社。 そして、少しずつ会う日が少なくなって。 少しずつ、すれ違っていったんだ。
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