第1章

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「 んーっとねぇー。っ!じーちゃん、ちょっと痛いー!」 「 おぉ、すまん。」 「 要っ!それ、わかったか?」 「 ん?あぁ、うーんとねぇ。あ!猫大臣でしょー?」 猫大臣はよくヒーロー遊びをするときの敵役の指人形。 「 正かーいっ!」 「 簡単だよしょーちゃん!もっと難しいものちょうだい!」 「 えー、じゃあ要の手に文字書くからそれ答えてみろよ!」 「 しょーちゃん僕文字分かんないよー。」 この時はまだ小学校に入る前。 ひらがなは自分の名前くらいしかわからなかった。 「 大丈夫だって!いくぞー!」 不公平、なんて言葉はまだ知らなかったけど勝手に文字を書いていくしょーちゃんに少し腹がたつ。 「 やっぱ分かんないよ~。あ、二つ目は『き』でしょ!」 「 っ!要分かるんじゃん!」 「 だって『き』はしょーちゃんのみょーじの『まき』の『き』だもん!僕しょーちゃんの名前たくさん書いたから書けるよ!」 「 俺だって要の名前ぜーんぶかけるぞ!」
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