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「 もう手、痛くないか?」
「 …うん、痛くない!」
「 んじゃまた遊びに行くぞ!」
「 はーい!」
立ちあがり、走り出した背中。
その後を追うように、僕も走り出した。
「 ねぇしょーちゃん。」
「 んー?」
「 目隠しごっこのときに書いた字、もっかい書いて?」
「 …一回だけだぞ。」
手のひらに書かれる二つの文字。
やはり一つは『き』。
もう一つの方は感触だけじゃなく、クリアな視界で形を覚える。
見たことはあるけどやっぱり知らない文字。
どうやって発音するのかがわからなかった。
僕はその日家に帰って文字が沢山書いてある本を広げ、その文字を見つける。
「 お母さん、コレなんて読むの?」
「 んー?あぁ、それは『す』だよ。」
「 す…。」
自分でも『す』と『き』を手のひらに書いてみる。
「 す、き…すき、好き?」
好きって言いたかったのかな。
僕もしょーちゃんのこと好きだよ。
大好きだよ。
「 お母さん!『だ』と『い』の書き方教えて!」
ちゃんと覚えよう。
そしてしょーちゃんの手のひらに書くんだ。
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