第2章

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「 橋田 要君。」 「 はい。」 最初は教室で名前を呼ばれるのも恥ずかしかったし、それに答えるのもとても嫌だった。 けれどそれも慣れたもので、今はただめんどくさいな、としか思わない。 「 要君!コレ要君に似合うと思って持ってきたの!」 可愛いフリルのついたスカートを揺らしながら近づいてきたのは同級生の女の子。 その子の手元をみると、そこには可愛らしいピン留めが。 「 え…、コレって女の子のものだよね?」 男の僕がつければ完璧におかしいものだ。 「 うん、でも要君なら似合うよ!」 顔の近くにスッと伸びる腕。 「 あ、ちょっ…」 「 動かないで要君!」 ワラワラと他の女子が集まってきて抑えられる腕と頭。 「 や、やだっ」 こんなのつけてしまえば、クラスの男子から批判を食らうのはわかりきっていた。 小学校2年生。 もうその頃にはクラス内での立ち位置、人気度、リーダー、そんなのが決まっていて、僕の世界はこの学校という空間に、限りなく支配されていたような気がする。
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