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「それでは、決を採りたいと思います」
直ぐ間近で、誰かが声を張り上げた。
思わず背筋が伸びてしまうような、凛とした声だった。
「同盟国セレイアへの援軍派遣に賛成の方は、挙手を願います」
ビクリと肩を揺らして顔を上げると、目の前にドーナツ型の大きなテーブルが見えた。
そのテーブルには、何人ものオッサン達が腰かけている。
厳ついのから柔和なのまで。
右から左までズラーッと並ぶ、オッサンの顔。
オッサン、オッサン、またオッサンだ。
なんだこれ?
「――賛成多数につき、此度のセレイアとブラースの争いに我がトルキアの参戦が決定いたしました」
サーセン?
ケツを取る?
意味が判らない。
俺はキョロキョロと周囲を見回す。
すると先程から司会みたいに一人喋り続けていた男が、不意にこちらに顔を向けた。
お? こいつはオッサンじゃないな。
何かやたらキラキラした顔立ちの優男だ。
イケメンだ。
お花畑でウフフアハハとかしてそうな感じの、儚い系のイケメンだ。
「救援要請のあったマシュー砦の戦い、陛下はどなたを派遣されますか?」
俺がイケメンの美貌をほへぇ~と口を開けながら眺めていると、そいつが急に話を振って来る。
陛下?
とりで?
なんのこっちゃ。
意味が判らなくてほへぇ~と口を開けたまま、イケメンを見つめ返した。
するとその場にいたオッサン達が、一斉にこちらを見る。
「……?!」
うほゥ!
注目の的。
オッサンの視線の集中砲火。
なにこれ。
「陛下! マシュー砦はセレイアの防衛の要。生半可な戦力では陥落は不可能ですぞ?!」
「ここは陛下御自ら陣頭に立ち、我が国の武威を示して下され!」
「左様! 晴れの舞台は陛下にお譲りいたしますぞ!」
反応出来ずにほへぇ~としたままでいると、オッサン達が口々にそう言って来る。
無駄に声がデカイな。
そして誰だか知らんが呼んでますよ、陛下?
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