第1話

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  「陛下はそれでよろしいので?」  内心で激しく狼狽していると、またあの儚い系イケメンが話しかけて来た。  何故俺に聞く?  思わず背後を振り返ってしまう。  するとそこには、ドラゴンがキシャァアッて感じに大口を開けて威嚇する、荘厳な刺繍がされた背もたれがあった。  垂直の背もたれだった。  しかも長い。  しかも硬い。  どうりで身体が痛いはずだ。 「陛下……?」  背もたれを見て、イケメンに目を戻す。 「陛下、ご決断を!」  するとオッサン達がぐわっとばかりに身を乗り出して、俺に答えを迫って来た。  俺は再び背後を振り返る。  しかしそこにはやはり、背もたれがあるばかり。 「陛下、どうなさいました?」  ――って、やっぱり俺かい?!  いや、そんな気はしてたのよ?  みんな俺に注目してるからね。 「一体どうされたのです?」  イケメンが怪訝に眉を顰めながら、俺の顔を覗き込んで来た。  一体どうされたんでしょうね?  本当に俺がどうされているのか聞きたいくらいですよ。 「――砦攻めには陛下の親軍が向かわれるという事で、よろしいですか?」  いや、よろしくない。  よろしくないが、何がよろしいのかも分からない。  興奮するオッサン達を前に、とりあえず俺は適当に頷いておく。  オッサンの威圧感がパねぇからだ。  何しろ眼前に居並ぶオッサン達は、揃いも揃ってマッスルだ。  ゴリマッチョからガチムチマッチョまで、各種取り揃えておいでになっている。  年齢は四十代から六十代くらいまで。  地震、雷、火事、親父系のオッサンのオンパレードだ。 「では、マシュー砦には陛下の親軍二万が向かいます」  カクカクと壊れた人形のように頷いていると、空気を読んだイケメンがまとめてくれた。  何がどうなってるんだ?  そしてここはどこ?
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