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「とか言って、洗面室とかリビングに置きっぱなしだったりするかも」
足音が2人分になって廊下を進んでくる。
「ユア、今日は帰れよ。本当にないから」
咄嗟に隠れられる場所を探して、キッチンへと足を向けた私の耳に部長の声が聞こえた。
「夏輝にもらったピアスだから、見つけたら絶対に即メールしてね」
勢いよく玄関の扉が閉まる音がして、今度は足音が1人分になった。
「本当、嵐みたいなヤツ」
廊下に響く部長のため息も独り言も、結局は何だかユアさんが可愛いって言ってるみたいだ。
「……ごめんね、彩星」
リビングに戻ってきた部長が、大きく身体を伸ばしながら私の名前を呼んだから、慌てて指先で目の下を押さえてソファーに座り直した。
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