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軽く洗い流して食洗機にお皿やグラスを並べる単純な流れ作業が、今の私の逃げ場だ。
「スイッチ、どこですか?」
「これ」
部長が後ろから手を伸ばして、スイッチを入れる。
「あの……肩は大丈夫ですか?」
身体ごと振り返ると、ワイシャツの釦が3つほど外れて、露になった部長の胸板と対面してしまった。
「大丈夫もなにも、最初からどこも痛くないよ」
片方だけ口角を上げて私を見下ろす部長に驚いて、言葉が見つけられずにいると、みるみるうちに隙間がなくなって、腰にシンクが当たった。
抱きしめられた勢いで唇が胸板に触れ、たまらない気持ちが込み上げて
くる。
「帰したくなかったんだ。許してくれる?」
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