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屋上を解放している学校なので、昼休みの屋上は大変混雑している。
みんな中庭とか裏庭とか教室とか好きなとこで食べる事が多いからなぁ。
学食も一応完備されているので学食の人もいる。
でも屋上は一番人気だ。
でもいつもご飯をここで食べられる理由は……。
「近藤さん!ここ、どうぞ!」
「葦原ー!こっち空いてるぞ!」
「笠原さん。僕らもう行くからここ使ってよ」
この三人が異常なまでに人気者だからだ。
なんで誰もあたしに声をかけない!?
いや、確かに花音のようなコミュ力はないし里奈みたいに美人でもないし夕みたいにミステリアス要素皆無だよ!?
それでもさ!!
モヤモヤしていると花音があたしの顔を覗き込んだ。
「どうした?生理前?」
「違うから!!」
花音がケラケラ笑って歩き出す。
あたしもため息をつきながら歩いた。
花音と夕の間に座ってサンドイッチの包みを剥がす。
一口食べてからチラッと吾妻くんを見ると普通に中原くん達と話していた。
さっきの顔、なんだったんだろう。
中原くんになんか嫉妬してるみたいだった。
そんな事言っても否定してくるんだろうけど。
なんなら罵られるんじゃない?
吾妻くんから目を逸らして夕を見ると夕はホットケーキサンドを口にくわえながら空を見上げていた。
「どうしたの?夕」
「うーん?次の展示会の作品どうしよっかなぁって考え中」
「あ、そっか。美術部もうすぐ展示会か」
「それなんだけど、過度に期待され過ぎててしんどいっていうかさ」
「夕も大変だね」
「いや、千波に比べれば大丈夫だから」
「は?なんで?」
「いや、だって吾妻くんの彼女でしょ?」
夕の言いたいことが分かってため息をつく。
そうだ、あたしは『吾妻くんの彼女』なのだ。
さっきだって話した事ない人達から話しかけられてしんどかったし。
これがしばらく続くと考えるだけで嫌気がさす。
「……夕の事応援してる」
「あたしも千波の事応援してる」
ため息をついて項垂れるあたしの横で夕は相変わらず空を見上げていた。
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