花音と小島くん

3/14
前へ
/197ページ
次へ
「今日も放課後補習なんだけど…… 」 「よかったじゃん」 「何が!?良くないから!!今日は家に早く帰って水戸黄門の再放送見たかったの!!」 「なんてしょうもない理由」 「千波手伝ってよー……」 「は?なんであたし?」 「暇そうじゃん」 「コノヤロウ」 あたしはため息をついて花音の頭に手を置いた。 「花音が『手伝って』って言うって事は、今日の補習はプリント終わらせたら帰っていいよの補習か」 「その通り」 「ちょっとは自分で考えたりしないと、また補習になるよ?」 「考えてるから!でも追いつかないの!!」 「分かった分かった。手伝ってあげるから」 花音が感動しながら私の手を握る。 それから手を何度も振った。 昼休み。 何故かもう恒例になってしまった吾妻くん達とのご飯タイム。 「ごめん、吾妻くん。今日花音の補習付き合うから一緒に帰れない」 「奇遇だな。俺も深影の補習付き合うから無理だ」 「え?」 「深影に泣きつかれたんだよ」 ため息をつく吾妻くん。 確かに言われてみれば小島くんも元気ない。 小島くんも補習常連なんだっけ。 あたしは苦笑いでカレーパンを頬張った。 「意外と面倒見いいんだ」 「なんだそれ。お前喧嘩売ってんだろ」 「だって普段の吾妻くんからは想像出来ないもん。冷たいし」 「馬鹿言え。俺は比較的優しい方だ」 「どの口がそういうのか」 そんな事を言っていると里奈があたしの隣に来た。 「何二人でイチャついてんのよ」 「あはは、いいだろ」 あたしのセリフは棒読みだ。 .
/197ページ

最初のコメントを投稿しよう!

99人が本棚に入れています
本棚に追加