花音と小島くん

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小島くんは花音の後ろに座って死にそうな顔をしていた。 「なんで小島くんそんな顔してるの?」 「聞いてくれるの?水野」 「え、いや、別に興味無いけど」 「じゃあ聞かないで!!」 机に伏せてしまう小島くん。 そんな小島くんの肩を笑いながら叩く花音。 こいつたまに思うけど正確悪くなるときあるな。 「大丈夫だって小島!今日はプリント終わらせるだけで帰れるって!」 「そう聞いたから流聖連れてきた」 「うわ、吾妻くんをそんなことで連れてくるとか贅沢かよ。殺されるよ」 「何!?ダメなの!?友達なのに!?」 「吾妻くんのファンに……これ以上はあたしの口からは言えない」 「なんで!?」 小島くんと花音の会話に苦笑いを浮かべる。 吾妻くんは興味なさそうに窓の外を見ていた。 なんとなくあたしも見てみるとタイミング良く里奈と中原くんが出てきた。 あ……。 こっそり吾妻くんを見ても表情が変わらないから分からない。 でもきっと苦しいんだろうな。 好きな人が、自分以外に笑いかけてるって。 あたしには恋愛経験がない。 好きになった事は……あっただろうか。 恋愛って大変なんだな。 あたしはゆっくり息をついた。 教室の扉が開いて先生が入ってくる。 「おまたせ」 「待ってない!!」 補習教室の常連達が声をそろえてそう言う。 本当に仲良いな。 「今日は比較的優しいぞ。このプリント、全問正解した奴から帰っていい」 は? 全問正解? あたしが固まったように全員の表情が固まる。 ……吾妻くんを除いて。 プリントが配られる。 花音のプリントを見るとこの間の小テストと同じような問題が書いてあった。 あたしも全問正解してないんだけど……。 「千波……」 「とりあえず自分で頑張るって事を学ぼうか」 最初からあたしを頼ってくる花音に溜息をつく。 ・
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