花音と小島くん

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「千波歴史得意でしょ!?教えてよ!!」 「あたしが全部解いてどうする。あんたまた補習受ける事になるよ?」 「でも今は早く帰れる!!」 「このまま水戸黄門がリアルタイムで見れなくなってもいいんだな」 「は……っ!!」 驚愕の表情を浮かべる花音。 あたし達の会話で周りの人達が笑いを堪えていた事は知らない振りだ。 「うう……っ、黄門様……っ」 「まさかの黄門様推しだったか」 花音が泣きそうになりながら問題と向き合う。 1問目に書いた答えを見て思わず花音の手を掴む。 「ちょっと待て」 「何?千波。あたしは黄門様のために頑張るの」 「うん、とりあえずこのままだと永遠に黄門様見れなくなるからちょっと待とうか」 「なんだと」 あたしは1問目を指さして口を開いた。 「この問題、『1368年に朱元璋が建国したのは何という国か』ってやつ」 「簡単じゃん!『中国』!!」 「そんなわけなかろう!?アホなの!?ああ、アホだったな!!」 「え!?違うの!?」 「それが合ってると思ってた花音の頭の中はどうなってるの!?」 頭を抱えて周りを見るとほとんどが衝撃を受けたような顔をしていた。 こいつらマジか。 後ろを見てみると小島くんも衝撃的な顔をしていた。 「あのさ、花音。そもそも朱元璋って誰か知ってる?」 「え、人なの?」 「そこからか」 あたしはカバンから教科書を取り出して該当ページを開いた。 「ほら、ここ。朱元璋っていうのは明っていう国の始祖、つまりは皇帝。紅巾の乱に参加してた人だよ」 「まさか……張角!?」 「違う。つまり、この人が始祖で初代皇帝ってことは?」 「えっと……明?」 「そう」 花音は感動したように答えを書いた。 ・
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