花音と小島くん

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周りの人達も同じように感動して書いている。 先生も何故か目頭を押さえていた。 「なんで先生まで」 「水野……お前のような生徒がいてくれて先生はうれしい」 「ありがとうございます」 頭を抱えて溜息をつく。 これは時間がかかるぞ。 「お前、歴史得意なんだな」 後ろからそう声をかけられて振り返る。 吾妻くんが驚いたようにあたしを見ていた。 「ああ、うん。歴史って一個覚えたらそれに連なるように答えがあるでしょ?この歴史があったからこの歴史に繋がるんだって。それが楽しくて」 「へえ、なんか意外」 「何それ」 「褒めてんだよ」 吾妻くんが少し笑う。 その笑顔に少しドキッとした。 おっどろいた……。 いきなりそんなふうに笑うから……。 なんとなく目を逸らして小島くんのプリントを見るとまた固まった。 「小島くん……」 「ん?」 「『麦わらの一味』は、架空の人物だよ……?」 「え!?」 そう言うと花音が笑いながら振り返った。 「あはは!!小島馬鹿じゃん!!答えは『四皇』だから!!」 「それも違う!!なんで『海賊』=『ワンピース』なの!?それ漫画!!架空の話!!現実にいた人達じゃない!!」 「え……?」 「なんで二人ともそんなショック受けたような顔してるの!?」 この人達真面目に解く気あるのか? 頭が痛くなって頭を抱える。 すると吾妻くんが口を開いた。 「そもそもルフィーって日本の人物じゃなくね?」 「あ」 「その問題、『日本人を中心として』って書いてあるけど」 再び衝撃を受けたような顔をする二人。 これ、いつ帰れるんだろう。 不安になりながら溜息をつく。 それと同時に吾妻くんも溜息をついた。 それから顔を見合わせて苦笑いを浮かべた。 ・
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