99人が本棚に入れています
本棚に追加
土曜日。
何故かあたしは花音と二人で駅前のカフェにいた。
「それにしても小島と吾妻くん遅いねー」
「なんでこうなった」
「だから、お礼だってば。吾妻くんと千波にはこの間お世話になったし」
「それならあたしだけでよかったじゃん。なんで吾妻くんと小島くんまで」
「小島と話したんだけど、あたしも小島も千波と吾妻くんにお礼がしたいわけで。でもあたしは吾妻くんと仲良くないじゃん?それなのにいきなり何かお礼って、頭やばくない?」
「やばいな」
「だったら二人を呼んで二人まとめて何かすればいいじゃんって結論に至った。しかも千波、吾妻くんの彼女だし」
そうだった。
あたしは吾妻くんの彼女なのだ。
普通なら休みの日はデートでも出来るんだろう。
でもする必要が無い。
だって付き合ってないから。
でもこれは強制的にデートさせられるって事。
絶対吾妻くんキレてるだろう。
そう思いながらあたしはミルクティーを飲んだ。
「あ、来た」
花音がそう言って入り口に手を振る。
小島くんと吾妻くんはあたし達のそばに来た。
「ごめん!遅れた!」
「いいって。電車の遅延は二人のせいじゃないし」
二人は人身事故の影響で電車が遅れてしまったらしい。
小島くんはホッとしたように笑った。
吾妻くんに目を向けると、当然のごとく怒っていた。
ですよねー……。
「吾妻くんも今日はありがとう」
「いや」
「意外と流聖簡単に返事してくれて助かった!」
「え?」
小島くんの言葉に目が点になる。
吾妻くんは溜息をつきながらあたしを見た。
な、何……?
「最初は目で殺されたんだけど、水野の名前出したら来てくれるって。やっぱり彼女ってすげーな」
「あたし……?」
なんでだ?
あたしは里奈じゃない。
里奈が今日いるなんて言ってるようにはみえないし、絶対来たくないって言いそうなのに。
「まあ来てくれたんだからなんでもいいって。とりあえず移動しよ」
花音があたしの腕を掴んで立たせる。
あたしはハッとして慌ててミルクティーのカップを持った。
「あ、そうだ。二人とも何か頼んでから行こ」
「あ、じゃあ俺ココア!」
「お子様だな、小島」
「葦原!?酷くない!?」
・
最初のコメントを投稿しよう!