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「水野は神様か何かなの?」
「は?」
突然何を言い出すのかと思えば、本当に何を言い出してきたんだ。
あたしは変な表情で小島くんを見た。
「いきなり二人にしてくれるなんて、神様だよね?」
「何言ってんの?」
「俺が葦原好きってなんで知ってんの?あ、そっか、流聖から聞いたんだ」
「は?小島くんが花音を好き?何それ、初めて知った」
そう言うと小島くんが固まった。
「え?」
「え?何?」
「知ってたんじゃなかったの?だから……」
「いや、知らないから。てか吾妻くんからそんな話一切されてないし、そもそも二人で楽しんで来いって言ったのはあたしが花音に付き合わされるのが面倒だったからなんだけど」
そう言うと小島くんが赤くなって空を仰いだ。
「わ、忘れてください……!!」
「無理でしょ」
「俺なんて恥ずかしい勘違いを!!てか考えたら分かるよね!?そりゃ流聖と二人になりたいよね!?」
「ちょっと、人の話聞いてた?どこであたしが吾妻くんと二人になりたいって言った?」
「このまま死ねる……っ」
「こんな事で死んでたら世の中に人間は存在してない」
溜息をついて腕を組む。
小島くんは落ち着かないようにうろうろしている。
「知ってしまったものはしょうがない。あたしも出来る限りの協力はしてあげる」
「え!?本当!?」
「でも期待しないでよ?今まであたしが花音の幼馴染みだからって理由で協力求めてきた男の子達、みんな玉砕してるから」
「なんで!?」
「言っとくけどあたしのせいじゃないから。花音が恋愛にこれっぽっちも興味がないのと、究極の馬鹿で鈍感だからって理由。花音が好きになる人ってだいたい変人が多いし」
小学生の時の花音の言った『あたし、隣のおにいちゃんの恋人になる!』って言った言葉が忘れられない。
あの究極のデブで美少女オタクを好きになる花音の恋愛対象になる基準を小学生ながら疑ったものだ。
「花音を好きになるって、大変だよ」
そう言うと小島くんが気合いを入れた。
「大丈夫。葦原が鈍感なのはもう知ってるし。それでも俺は頑張るって決めたんだ」
「そっか」
「ありがとう、水野。それから、よろしく」
嬉しそうに笑う小島くん。
よく考えたらあたし、吾妻くんの事も協力しないとだし、なんか恋愛マスター気取ってない?
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