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恋愛なんてしたことないくせに。
自虐的に笑って花音と吾妻くんの所に帰る。
「じゃあ花音。あたしと吾妻くんそのへんに座ってるから、何かあったら連絡して」
「了解!ほら、行くよ小島!」
二人に手を振ってベンチに腰掛ける。
吾妻くんはボーッと歩いて行く人達を見ていた。
「さっき、小島くんから暴露されたんだけど」
「ああ、深影が葦原の事好きって?」
「うん。小島くん、あたしが吾妻くんから聞いて知ってたものだと思ってたらしく自分から話してくれたよ」
「深影、馬鹿だから」
「ビックリしたよ。昔から花音モテるけど、花音ってあんまり恋愛興味無いし。それに、だいたいの人はあたしにまず言ってきて協力求めてくるし。小島くんはあたしを利用しようとは思わなかったんだなって」
「……いい奴だから」
「本当だね」
笑って足をぶらぶらさせる。
吾妻くんはあたしを見ることなく話を続けた。
「前から思ってたんだけど、お前って可哀想な位置にいるよな」
「は?なにそれ」
「だって、里奈だって葦原だって笠原だって、お前の友達ってみんな人気あるじゃん。協力しないといけないって苦痛に感じたりしないわけ?」
そうやって聞いてくるのはきっと、吾妻くんの周りの人がそういう経験をして吾妻くんに何か言ったって事だ。
花音はそれで友達を信用出来なくなって、いじめの対象にまでなったから。
「別に人気があることは悪いことではないでしょ?むしろ凄いじゃん。あたしはモテた記憶皆無だから羨ましいし」
「え?」
「そういうの気にしないようにしてるんだよ。だってモテる人達に罪はない。好きになった人達にも罪はない。協力してっていうならあたしに出来ることをするだけじゃん。それで文句言う人は単に羨ましいからでしょ?自分がモテないからって僻んでるだけじゃん」
吾妻くんはあたしを見て少し笑った。
「……そうだよな。水野は、そういう奴だ」
あたしも吾妻くんに笑う。
なんか吾妻くんと前より仲良くなれている事に嬉しく思った。
「吾妻くんは遊園地で遊ばないの?」
「こういう人が多い場所は苦手。人の目が気持ち悪い」
吾妻くんの事をちらちら見てる人は結構いる。
それは吾妻くんは人の目を引くような容姿をしているから。
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