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「―――って、感じ何ですけど、いくらぐらいになりますかね…?」
薄暗い部屋の中。壁にびっしりと並んだ本棚の数々、それに囲まれるように中央に位置する大きな黒い机を挟み、僕は彼女に問いかけた。
「――これは、酷い」
「ですよね僕もそう思います」
同情するような、哀れむような表情を浮かべる彼女に、僕はそう答えた。
「――これは酷い。酷すぎる。酷く――――――
――――つまらない」
――は?と、思わず疑問の声を浮かべる僕。
「いやいやいや……貴方があんなに、『絶対に面白いです!いえ、面白くない筈がない!紆余曲折、山あり谷あり川あり野ありな僕の波乱万丈危機一髪奇々怪々な人生は!!』ってあんなに熱弁されるので、折角の時間を削り話を聞かせて頂いたのですが……いえ、聞いてあげた、聞いてやったのですが……」
「どんどん僕に対する扱いが下がってますね」
「……こんな、こんなありふれた何の変哲も無い平々凡々ありきたりな人生を送ってきたなんて、とてもじゃないですが信じられないですね」
「……はい。いや、自分としては姉に売られ裏切られた辺りとか、とても面白いと思ったんですがね」
「面白くないですつまらないです」
「さいですか」
はあ、とため息をつく。まあしょうがない、来世に期待しよう。
「――では、約束通り対価を頂く他ありません。異論はありませんね?」
「――はい」
面白い話をすれば報酬を貰える。つまらない話を聞かせれば財産が奪われる。それがここ―――この店の、ルールなのだから。
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