第38章:ウェディングドレスの功罪

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「…太田さん…?僕、また、泣かせるような事をしたのか…?」 野城の言葉は、潮風に流されていくように、静かだった。 廊下で一般観光客が行き来する中、二人は見つめ合っていた。 「そ、そんなことはないよ!」 あたふたと答える奈央子。 「……うん」 野城は困惑した表情になっていた。奈央子は彼の手首を掴んだまま、言う。 「実は!そのね、私、ちょっと野城くんに…そ、相談したい事があるの!!」 「えっ、今!?」 野城は驚いた表情で、左手首の腕時計を見た。 「うん!今!」 「でもさ、僕は班の皆が待ってるんだ。もう随分と待たせてるし…何も、今じゃなくても。帰って来てからでも良い?」 「でも…!」 しかし、その時、奈央子の携帯電話の着信音が鳴った。 「わ、メール」 ピッ 『誰かに話す事は、許されない。お前は常に見られている』 奈央子の動きは止まった。
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