第38章:ウェディングドレスの功罪

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「それを…壊したいんだね?」 野城も水飲み機のところへ歩きながら、奈央子の背後から優しい口調で、ゆっくりとそう言った。 「こ、これで壊れたかな…?」と野城を見上げて不安げに話す奈央子。 「さぁ。防水カバーがすっぽり覆ってるみたいだけど。中身をこじ開けて、分解でもしない限りは、無理じゃない?」 「……な」 「でも太田さん。単純に考えてさ、ゴミ箱とかに捨てりゃ良いんじゃない?」 すると野城は奈央子の右手から、一円玉―…いや盗聴器を取り上げて、スタスタと数歩歩いたかと思うと、ゴミ箱の中にそれを落とした。 蓋付きのステンレス製のゴミ箱の中身は、外からはあまり見えない。 ゴミ箱の中に入っている物は、蓋を外さない限りは分からなかった。 そして、野城が奈央子の元に戻って来た。 「じゃあ僕、そろそろ本当に行かないと、班の皆が…」 「の、野城くん!ちょっとこっち来て!」
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