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『かしこまりました。申し訳ありません、ロイ様。二度も失敗に終わってしまい…』
「早く奈央子の追跡を始めるのだ。もう、観光の時間だろう?まだ船内にいるのか?」
『はい。その模様です』
「なぜだ?」
『それは分かり兼ねますが、あの厄介な少年と話し込んでる様子です。すみません、ちょっと二人に近づきます。何を話しているのか、聞いておいた方が良いと思われます。あの少年、油断ならないんで。ロイ様、一旦切りますよ?』
「ちょっとまて、お前。さっきから言っている"厄介な少年"ってのは、誰なんだ?」
『分かりません。奈央子さんと随分と親しげな ただの男の子です。見るからに、奈央子さんに好意を抱いてそうな雰囲気はありますね。あ、もちろん苺学園の生徒ですよ。じゃ、切りますよ?』
プッ
レイは、無線機を口から離し、テーブルに置いた。
「……………」
振り返ると、優は、クロワッサンをかじっている途中だった。先ほどと変わらず、ちっとも小さくなってない。
「優。食べるのが遅いんだな」
「……そうか?」
そう答えるものの、優の表情は微かに
確かに、笑っていた。
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