1人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「どうだろうね。
うまくいくといいね。」
「お前が冷めそうだよ。」
「いや、あんたでしょ。」
ふふっと笑い合って、
私たちはまた黙り込む。
冷えた風が吹く。
私たちの間をすり抜けて
一体どこへ向かうのだろうか。
彼に触れる手。
聞こえる吐息。
感じるぬくもり。
いつか、消えて無くなってしまいそうで、怖くなる。
暗い住宅街を出て、車通りの少なくなった交差点を渡って、
静けさに包まれた土手を通る。
所々におかれた電灯が、時折私たちを照らした。
「不安だけどさ、私たちなら
なんとかなる気もするよ。」
私の言葉に、彼は、うん、と言う。
「会えないのってすごく辛いんだろうなって思うけど、だから、
電話とかたくさんしようね、
たまには会いに行ったり来たりしてさ。」
最初のコメントを投稿しよう!