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しばらく拓と克、そして佐藤探偵と話した後、佐藤探偵の車で警察署まで送ってもらった。
「南ちゃん、一人で大丈夫?」
「はい。大丈夫です」
「事情聴取が終わったら連絡して。マンションまで送るから」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
佐藤探偵にはハピフレ事件の時からお世話になりっぱなしだ。
せめて少しでもお金を払おうとしても、佐藤探偵は「南ちゃんたちは家族のようなものだから」と言って受け取ってくれない。
いつか、佐藤探偵に恩返しがしたいなと思う。
佐藤探偵と別れて警察署に入ると、さっき田中一郎を逮捕した刑事さんのうちの一人が来て、2階の部屋に案内された。
「吉岡です。さっそく来ていただいてありがとうございます。田中一郎と何があったのか順番にお聞きしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「はい。よろしくお願いします」
田中一郎が私に最初に接触してきた時から、マンションで田中一郎が逮捕された時の事まで、覚えている限り丁寧に話した。
吉岡刑事は、私の話を頷きながら聞いている。
「ハピフレの指輪を外しても脳に効力が残っているなんて……その件は専門家に調査を依頼しますので少しお待ちください。田中一郎を逮捕した今、それを悪用出来るのは高田だけだと思います。
だけど、高田が佐藤探偵に連絡してきたという事は、少なくともそんな事をするつもりはないはずです」
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