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確かにそうだ。
高田取締役は指輪の効力が残っている事を知っていた。それなら、ハピフレ事件の後、私たちを簡単に殺すことが出来たはずなのに、それをしなかった。
そして、指輪の効力を利用して私を脅した田中一郎の事を、佐藤探偵たちに通報した。
高田取締役は少なくとも今、私たちを殺そうとは思ってないって事だ。
「それに、素人の意見ですが、多分、指輪の効力については何年も続かないと思います。だから、この件に関してはそこまで心配しなくて大丈夫だと思いますよ」
「そうですか、ほっとしました。いつ殺されるかわからないと思うと本当に不安で……」
「我々が高田を逮捕出来ないせいで不安にさせて申し訳ありません。いつか必ず高田を逮捕しますので」
「よろしくお願いします」
1時間ほど吉岡刑事と話した後、警察署を出て、迎えに来てもらった佐藤探偵の車に乗り込んだ。
「お疲れ様。南ちゃんを待っている間、少し警察署で話を聞いたんだけど、田中一郎は、高田とは連絡が取れないし、高田の素性は全く知らないと言ったそうだよ」
「友達っていうのは、田中一郎が勝手に思っていただけなんですね」
「そうなんだけど、それなら、どうして高田が田中一郎に指輪の秘密を教えたのかが気になるよね?」
「えっ……確かに」
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