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「ザコのくせに、意気込みだけは一人前だな」
てっきり一発食らわせて膝をつかせれば『情報を吐く』かと思ったが、こいつにはどうやら『仕置き』が必要らしい。
オレの背後の詰まれたテレビをちらと振り返る。詰まれた四台のうち、一台が映しているのは東国の歴史を追った再現ドラマである。黒髪を結って長い着物を纏った演者たちが、長いナイフ……刀を構えて盛大に斬り合っているシーンだった。
……貸してもらおうか。
血まみれの右手人差し指と中指でブラウン管をそっと撫でた。ピリッと微弱な電流が走ったような感覚が伝う。
かなりの血の量だ。これならば途中で引っ掛かるようなことはないだろう。
頭の中で演者の刀を強く思い浮かべながら、そのまま円を描くようにするりと滑らせた。直後、バチバチと弾けるような音と共に画面が青白く発光する。すると見る間に画面中央から、演者が握っていた刀の柄が突き出てきた。
目の前の光景に男は鼻を押さえたまま、瞬きすら忘れたように目を見開く。なんとも間抜けた表情で滑稽だ。
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