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昔、ある山深い里の外れに一匹の赤鬼が棲みついていました。
鬼の里はもっと山奥の谷底にあったのですが、赤鬼は人里に近い場所に棲んでいました。
鬼と人間は憎しみあい、人間は鬼の力を恐れ、鬼は人間の知恵を恐れていました。
もう長く人間と鬼は互いに干渉することはなかったのですが、なぜか赤鬼は人里近いところに棲みついたのです。
それには少しばかり悲しいわけがありました。
「よし。この立て札を立てておこう。少しでも人間が怖がらないようにしておかなくちゃ。」
赤鬼は棲み家の前にわざと居場所がわかるように立て札を立てました。
それは赤鬼が人間と少しでも近づきたいとの思いからでした。
しかし、人間達は鬼の里に近い山深い場所に来る者はおらず、赤鬼の試みは無駄なようでした。
それでも人間の警戒心の強さを知っている赤鬼はじぶんから人間の里に近づくことはせず、ひたすら待ち続けていました。
そんなおり、一匹の青鬼が赤鬼を訪ねてきました。
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