第1章

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「…はい……あっ!」 突然の声にびっくりして振り向くと、厨房から顔を出している男の人だった。 「さっきの人だ…」 なんて蓮が大きな声でいうものだから 「すみません」 なんて私が謝る始末。 すると、その厨房の男の人は 「いえ、大丈夫ですよ」 ーーーあ、笑った… あんなに無愛想だった人がこんなふうに笑えるんだ…となんだか見入ってしまった。 よく見るとマスクごしに見ても切れ長の目、高い鼻、 それに顔も整っていてアイドルに似ている顔の人がいそうなほどだった。 「…なにかついてますか?」 「あ!いえいえ!あ、あの何か…?」 そういえばなにか用だったのかと思いたずねてみると 「あ、そうでした、よかったらご希望のパスタ作りますけどなにかありますか?」 「そんなことして頂いていいんですか?」 「今ちょうど空いているので大丈夫ですよ」 「蓮なんか食べたいパスタないー?」 「じゃあ私ナポリターン」 「…カルボナーラお願いします」 そんな短い会話から、何故かあの人の笑顔が頭から離れなかった。
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