第1章

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男が1人雨の降る夜の空を窓越しに眺めながら電話をかけていた 〔……出たか、出たいうことは終わったのか?〕 〔ええ終わりました。今回もそちらには出向きませんので、後は振り込んでおいて貰えますか?〕 女が1人雨の中傘もささず黒い髪を濡らしさらに漆黒の色に染めながら街を歩く 〔分かってるよ明日も学校だからね、 今回も怪我はないかい?〕 〔お陰様で明日からテストですよノート提出もまだしてませんし… 私が怪我なんてするとお思いですか?心外です。〕 〔あゝそれは済まなかったね… 父として娘の心配をしない枠にはいかないでしょー〕 〔父ならまず殺しの仕事を回さないでしょ〕 …どうやらこの2人は家族のようだったが 普通の家族ではなさそうだった 〔あゝ後、風引くなよ〕 〔いつもありがとうございます。おやすみなさい〕 女は言い終わるが早いか早々に電話を切ってしまった 「おやすみナギ…」 「(いつになっても敬語は治らんか…)」 男は暖かな視線を携帯に向ける
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