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翌日、食堂で何があったかは知らないが、俺が生徒会室に行くとすでに役員が揃っていた。
そして、何故か知らない奴がソファーに座っている。
変装だとわかるようなもじゃもじゃな髪に分厚い眼鏡。
言われなくてもわかる。
転入生だ。
「あッ!!!お前初めて会うな!!!俺、桐谷海って言うんだッ!!!海って呼んでな!!!で、お前は!?!?!?」
一瞬感じた聞き慣れたはずのその声に眉を寄せる。
だが、やけに『ッ』やら『!』が多い喋り方。
苛立ちすら覚える。
あいつはこんな喋り方しない。
俺は興味なさげにボソッと名乗ると自分の机へと向かった。
「なぁ、輝雅もこっちで一緒に話そうぜ!!!一人じゃつまらないだろ!!!」
俺が机に向かって黙々と仕事をこなす中、他の役員4人は転入生と共にずっとソファーで喋っていた。
つまり、仕事は何一つやっていない。
それに加えて転入生が煩い声で俺を呼ぶ。
急にでかい声を出すな、心臓に悪い。
そう思っているのは俺だけのようで、俺が彼の呼びかけを無視すると、周りの3人から野次やら嫌みが飛んできた。
和緋は何も言わないが、キリッと俺を睨んだ。
俺はお前の恋人だぞ。
恋人を睨むか、普通。
そう思っていたのはこの時まで。
その次の彼らの会話で、俺の思考回路は停止した。
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