[2]さよならが言えなくて

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あの4人を追い出してから何日経っただろうか。 もう1ヶ月以上は過ぎただろう。 いくら片付けても終わらない仕事。 役員は一向に部屋を訪れる気配がない。 ただでさえ多い自分の仕事に加え、締め切りが近い他の役員の仕事、風紀からの書類に行事計画、それに加えて転入生関係の書類が1日に複数枚。 しかも、俺の仕事はそれだけではない。 プリントのコピーに各クラスへの配布、委員長会議など。 減らさなければならないのは、必然的に睡眠時間や食事時間となる。 気づけばもう朝だなんて事、最近毎日だ。 今日も確か会議が入っていた。 時間まで他の書類を終わらせようと机に向かっていたら、時計はすでに会議開始時間を指していた。 急いで会議のプリントを探し会議室に向かう。 「遅い」 会議室のドアを開け最初に聞こえてきた声は風紀副委員長の崇野疾風のもの。 何故彼の声が、いや、何故彼がいるのか。 今日は委員長会議だから風紀も委員長だけ出れば良いことになっている。 不思議な目で見れば、彼は困ったように首を横に振った。 それだけで十分に察することができる。 あながち、風紀もこちらと同じ状況なのだろう。
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