[2]さよならが言えなくて

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会議を無事終わらせ、各委員会の委員長を帰らせた後、会議室には崇野と俺だけが残った。 「随分と疲れてるみたいだな」 「あぁ」 俺の様子を見た彼は椅子に座ったまま呟いた。 「他の役員は一人も来ていないのか?」 「まぁね」 俺も俺で座ったまま単調に返す。 「このままで大丈夫なのかよ」 「人の心配するくらいなら早く風紀の書類回せ」 「こっちは仁がいなくて仕事にならないんだよ」 お互い大変だな、と苦笑し席を立った時、急に視界が揺れた。 立ち眩みをおこしたようだ。 どうにか倒れる事はなく机に手をつくが、それだけでは終わらなかった。 襲い来る頭痛に、針が突き刺さったように痛む左胸。 キューっと締め付けられるような感覚。 懐かしい悲鳴だ。 崇野に悟られないよう、なんとか平然を装い会議室を後にする。 生徒会室に向かう道中激しくなる鼓動。 それと比例するように痛みは増し、左胸を押さえる。 やっとの思いで生徒会室に到着したころには、意識など朦朧としていて。 確か机の引き出しに薬が入っていたはずだ。 最後の気力を振り絞って最奥の机へと向かう。 だが、机に辿り着いた時、痛みと鼓動は限界に達し、足が崩れた。 床に付いた片手の力も入らなくなり、床に倒れると同時に意識が遠のく。 浮かぶのは『薬飲んだか』と聞く彼の声。 あぁ、確かにここ最近薬を飲んでいなかった。 食事をとらなければ薬だって飲めない。 薄れていく意識の中で呑気にそんな事を考える。 弱いな。 自分の欠陥を悔いた。 その時にはもう痛みは感じなくなっていて。 俺は完全に意識を手放した。 意識を失う直前に俺を呼ぶ声が聞こえたのは気のせいだったのだろうか。
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