875人が本棚に入れています
本棚に追加
/108ページ
【Side 久遠】
遅かった。
料亭に着く頃には東城はすでに行動に移していた。
車へと戻り運転席に座りながら考える。
奴の行きそうな場所。
東城の別荘はこっちにはなかったはずだ。
となると、考えられるのは宿泊しているホテルか。
しかし確証はない。
ん……?
そうか!
あるモノを見つけ、スマホを開き電話をかける。
「GPS……、GPSは!?久遠さん!!」
海斗が助手席で騒いでいる。
こいつは本当にまだまだだ。
「相手だって金持ちだ。GPSが輝雅様につけられてることくらい見抜いてる。さっきからコイツは料亭から動いていない」
手に持っているスマホには赤いランプがずっと点滅している。
本当に。
舐めた真似をしてくれる。
早乙女をバカにしてるのか。
『見つかりました』
耳に着けていたイヤホンから先ほどの電話の相手の声が聞こえた。
告げられた住所はやはり有名高級ホテル。
ビンゴだ。
恐らく奴が宿泊しているホテルだろう。
輝雅様を乗せる時にはあり得ないスピードで運転する。
信号がもどかしい。
イライラする。
こんなところで止まってる時間はないのに。
着いたホテルのフロントで聞いた奴の部屋。
早乙女の秘書だと言えばスンナリとスペアキーを差し出した。
ドアの前、挿したキーが音を鳴らす。
カチャっと言うそれとともに、部屋へと突入した。
最初のコメントを投稿しよう!