[4]伝えられる想い

34/46
877人が本棚に入れています
本棚に追加
/108ページ
翌日、1日の予定を全てキャンセルしたという連絡を久遠から受け、俺は子供たちが起きる前に支度をして家を出た。 すると、家の前には1台の車が止まっており、運転席から久遠が出てきた。 恐らくここから連絡を入れたのだろう。 驚きを見せた俺に、彼は苦笑いを見せ後部座席ではなく助手席のドアを開ける。 「・・・・・」 「今くらいはこういう関係でいさせて下さい」 要するに、運転席と後部座席という主従の関係ではなく、運転席と助手席というもっと近い関係でいたい、ということか。 彼の目が真剣さを表していて、それを拒むことはできなかった。 促されるまま助手席に座りシートベルトをつけると、ドアをしめた久遠が運転席に現れ、同じ動作を行った。 思い返せば、助手席に座るなんて初めてだ。 こういうのもたまには悪くない。 だけど、彼の運転で隣に座るのはこれが最初で最後だ。 今日彼を見て思った。 久遠にもはっきりと伝えなくては、と。
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!