もっと甘く私を溶かして

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雪がしんしんと降り積もる様子を見て、通りで寒いわけだ、と一人ごちて目をつむった。 あぁ、なんで、どうして……っ こたつはこんなに暖かいんだ…!! 一度入ってしまえばもう抜け出せない、誰でも自堕落になってしまう恐ろしい魔物とすら言える。 ……ダメだ、帰ってきてもう二時間経ってる。 そう思いつつも全く動く気配が見えない私の体。 職場である近くの高校から帰ってきたのが8時半。 今日は終業式ではあったが、なんといってもうちの高校は進学校で。 センター試験を控えた三年生は、今日も七時間目まできちんと授業があった。 私は二・三年生の古典担当の教師であり、授業を終えた後も、1月から始まる冬季補習の準備に追われ、こんな時間に帰宅する羽目になったのだ。 疲れた、とこたつに潜り込んだが最後、二時間経った11時半になった今も、ぐだぐだしている。 もうすぐあの人が帰ってくるのに、そう思いつつもやる気が起きない。 ぼうっとしながら、カレンダーを見つめた。 今日は、クリスマスイブ、なのに。 未だに帰ってくる気配を見せない、同居人を想って拗ねた。
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