もっと甘く私を溶かして

3/4
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
クリスマスイブ、ということを改めて認識すると、少しだけ、やらなくては、という何やらよくわからない責任感に追われた。 こたつを出てからの私は早かった。 同居人が一昨日から出張でいないのを良いことに、(彼はシンプルで落ち着いた部屋が好きなのだ)勝手にクリスマス色で飾った部屋を、 これまたクリスマス色の漂う香りで満たす。 まぁ、要するに。 今日の朝作って、寝かしておいたシチューを温め。 七面鳥…は買えないし食べきれないので、その手羽先とモモ肉をオーブンで香ばしく焼き上げ。 街で人気のケーキ屋さんに3ヶ月前から予約をして、今日それをちゃんと取ってきた。 ちょっと高めのシャンパンも買ったし(私はシャンメリーだけど)。 こちらは準備万端だ。 私は、いつもはやらないだけであって、やればできる子なのだ。 いつも美味しいお料理をつくってもらってるから、感謝したくて。 いつもそっけないけど、本当はめちゃくちゃ優しい人だってこと、ちゃんと分かってるし、そこが大好きなんだって伝えたくて。 そして、この聖なる夜を、大好きな人、つまりあなたと過ごしたくて。 私は、賑やかな部屋に、一人で取り残されてる。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!