もっと甘く私を溶かして

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寂しい気持ちと、静かに降り積もる雪とは裏腹に、やけに明るい着信音が鳴り響いた。 慌ててそれを手に取り、急いで画面を覗く。 ――――――――――――――― From:瑠斗 Title:ごめん ------------------------------ 今からそっち戻る。 雪の影響で電車の運行が遅れてるらしいから、待たなくていい。 さっさと寝ろよ。 ――――――――――――――― ……何それ。 待たなくていい、って何それ。 雪が大好きな私も、今日ばかりはホワイトクリスマスを全く喜ぶことができない。 無意識のうちに尖らせていた唇を真っ黒になった液晶画面で確認し、これまた無意識にスマホの電源を切っていたことに気付いた。 待たなくていいって、もう手遅れですけどー。 クラッカーまで完璧に用意しちゃったんですけどー。 なんなら、私、実は変態な瑠斗のために、セクシーサンタガールに変身しちゃってますけどー。 ミニスカ+ガーターベルトの最強セットですけどー。 ………ここまで一人で心の中で呟いて、居たたまれない気持ちになった。 こうなったら、意地でも待ち続けてやる! そう思って、またこたつの中に潜る。 ごめん、なんてタイトルで許してなんかあげない。 ここまで、あなたと過ごす時間をロマンチックにしたくて、一人で頑張ったんだ。 枕元には、ちゃんとプレゼント置いてるんだよ? 私は褒めて伸びるタイプなんだよ。 …だから。 どうか、どうか。 あの人が早く帰ってきますように。 そして、願わくば、 もっと甘く私を溶かして。
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