サンタから愛を込めて

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まぁ、なんやかんやで、目当てのものは手に入れて、後は家路を急ぐのみだった。 ――――――……… 「……ただいま。」 小さくそう呟いて、そろりと部屋へ忍び足。 リビングに近づくにつれ、どんどん華やかになっていく飾り付け。 …アイツ、一人でやったのか。 なんとなく、想像できるその光景に、ふっと笑みを漏らし、リビングに足を踏み入れた。 やたら明るい部屋。 クリスマス感満載の飾り付け。 もう冷えてしまっているであろう料理たち。 そして、猫のように、こたつで丸くなっているアイツ。 首まですっぽりと入っているところを見ると、よっぽど寒かったんだろう。 きれいな白い肌。 長くて繊細な睫毛。 赤く色付いた頬。 ぷっくりと潤った唇。 首にはしっかりと俺が忘れていったマフラーが巻かれていて。 あまりにも、愛おしくて、ふわりと額に口づけた。 身動ぎをする彼女に、ふっと笑い、彼女が被っていたサンタ帽子を自分が被り、さっき買ってきたプレゼントをそっと隣に置いた。 サンタから、愛を込めて。
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