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彼女の手術が始まって何時間経っただろうか。
急いで来たから、腕時計を忘れてしまった。
だが、窓の外は暗いから少なくとも四時間は経っているだろう。
それに、外では雪が降っている。
ホワイトクリスマスだ。
彼女の手術が成功したら、一緒にこの雪を見たい。
彼女は雪が大好きだから、子供みたいにはしゃぐかもしれないな。
その姿を想像し、思わず笑ってしまった。
でも、彼女は言っていた。
多分今日で死ぬと。
そんな事を言わないで欲しかった。
確かに成功率は5%しかないかもしれないが、俺にとっては5%もある。
ゼロじゃないんだ。
きっと……きっと大丈夫。
その時、手術中と書かれた赤いランプが消えた。
俺は思わず立ち上がる。
手術室に繋がる扉が開いた。
中から出てきたのは、俺に連絡してくれた看護師さんだ。
「どう……でしたか?」
自分の心臓が煩い。
「手術は……失敗しました」
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