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「え……?嘘ですよね?」
看護師さんは今にも泣きそうだった。
目は少し虚ろだ。
「本当です」
手術室の扉が再び開き、ストレッチャーと数人の医者が出てきた。
そして、一人の白髪の男性が俺の前に立つ。
「私の力不足で……申し訳ありません」
「……んで。何でだよ!」
今にも殴りかかってしまいそうだった。
死なせたのに悲しそうな顔を全くしない。
俺の大切な人はもう居ない。
「でも、見てください」
あの看護師さんが涙を流しながら、小さく微笑んでいた。
「幸せそうな顔ですよ」
俺はふらふらしながら、ストレッチャーの前に行く。
「……本当ですね」
彼女の口角が微かに上がっている気がした。
「彼女はあなたが来てくれたことが最高の幸せだったのだと思います」
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