余命半年

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入院してからの一ヶ月は、毎日彼が来てくれた。 笑顔で私のことを見つめて、会社であったことを楽しそうに話してくれた。 それは病気のことを忘れられる唯一の時間だった。 しかし、一ヶ月が過ぎるとパタリと彼は来なくなった。 仕事が忙しくなったのかと思ったが、彼からは何の連絡も来ず。 それから毎日彼を待った。 ベッドの中で、病室の前で、時には看護師さんにお願いして病院の外で。 寒い日も少し暖かな日も雨が降る日も、私は彼を待ち続けた。 でも、来なかった。 耐えきれなくなったんだと思う。 あと半年で死ぬ私に価値を見出だせなくなったのだ。 今頃健康な新しい彼女が居るのかもしれない。 もうすぐ来るクリスマスの為に、彼女にプレゼントを買っているのかもしれない。 私は棄てられたのだ。
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