余命半年

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その日は時間の経過が遅く感じられた。 手術は昼の二時からで、今はようやく一時を過ぎた所。 何かを考えては、時計を確認することの繰り返しだった。 もしかしたら私は明日生きていないかもしれない。 そう思うと、怖い。 でも、こんな大切な日に心配して来てくれる人も居ないのだから、死んで良いのかもしれない。 もう生きていても辛いだけだ。 自暴自棄になっていた、その時。 二回扉がノックされた。 手術の準備の為に看護師さんが来たのかもしれない。 「どうぞ」 「失礼します」 扉越しに聞こえてきたのはやはり看護師さんの声だった。 彼を待っていた時に、病院の外まで一緒に着いてきてくれた人。 彼女なら私の死を悲しんでくれるだろうか。 ゆっくりと扉が開く。 「手術の準備で…………!」 顔を上げると、看護師さんの後ろにもう一人居た。 「どうして……」 「間に合ってよかった」 大好きだった彼がそこには居た。 私が去年プレゼントしたマフラーをしている。
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