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「私が連絡しました」
看護師さんが私に優しく微笑む。
「前に連絡先を教えていたんだ。何かあったら連絡して欲しいと」
「……今更何!?私を棄てたんでしょ?同情しに来ただけなら帰って」
「違う」
久しぶりに見た真剣な眼差しだった。
仕事について語っている時もこの目をしていたのを覚えている。
「俺はこれを渡すために来た」
そう言って、差し出されたのは青い小さな箱。
赤いリボンが前で結ばれている。
「……要らない。どうせ新しい彼女にあげるつもりだったんでしょ?」
「新しい彼女なんて居ない!俺はこの一ヶ月間必死に働いてきた。今の仕事ではお金が足りないから、バイトを増やして朝から真夜中まで働いていたんだ。
本当は連絡したかったけど、びっくりさせたかったんだ。
……もう俺は要らない?」
彼が箱を開けた。
そこにあったのは、ダイヤモンドが輝く指輪。
私が以前欲しいと言っていた物だ。
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