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いつもその背中を追っていた。
先輩に追い付きたくて。
先輩に抱いていた憧れは気づいたらスキに変わっていた。
でもこれは絶対に叶うはずのない、俺の一方通行で終わる恋。
先輩に知られてはいけないこの気持ちは、一生胸のなかにしまっておこうと思う。
なのに、いつも先輩は俺の心を掻き乱す。
俺に向けてくれるその笑顔、その優しい声、頭を撫でてくれる大きな手、すべてが愛おしい。
俺のものにならないってわかっている。わかっているのに…どうにかして手に入れたいと思ってしまう。
「どうした?なんか悩みごとか?」
「いや、大丈夫っすよ。なんでもないっす。」
「そうか。なんかあったら相談乗るからな?」
「ありがとうございます。でもほんとなんも心配要らないっすよ。」
「そうか。」
……ほら、そうやって綺麗に笑うんだ。
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